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サラサラの髪を肩まで伸ばした、プライドが高そうで無駄に美人の生徒会長の、やけにテンションの高い新入生歓迎の挨拶の後、生徒会役員が整然と壇上に並んだ。
ガキ臭い男臭い集団でしかなかった新入生は、みんな目を丸くし釘付けになった。
ここに居並ぶほとんどの生徒は、新入生・上級生含めて男らしく年齢を感じさせない連中が多い。
多いと言うより、“ほとんど”だ。
それなのに、役員の中にどう見たって極上の美少女にしか見えない人がいる。
一瞬、甲子園のアルプススタンドで、汗を輝かせて頑張ってる美少女応援団員かと目を疑うほど。
美少女と言っても、テレビに出てくるアイドルや“美少女”の冠が付いてるだけの美少女なんかメじゃない。
ため息を洩らしているヤツまでいる。
「書記の柳小路千聖です」
書記さんが頭を下げた途端、
「ヒュー!うっそ、千聖ちゃーん!!可愛いぃ」
「こっち向いて笑ってぇ」
さっきのこともあるって言うのに、我を忘れたかのように指笛を吹いて囃し立てるヤツまで続出…
中にはパイプ椅子をロデオ顔負けに前後させたり、勢いよく立ち上がったことで後ろに倒し『足にぶつけた』と喧嘩になっている連中が居たりと、場は騒然となった。
騒ぎたい気持ちはわからなくはないけどさ。
「え~…新入生諸君、静粛に。静かにね。書記の彼、可愛いだろ?気持ちはわかるよ。だけど、迂闊に手を出したら…
ふふふ…君ら五体満足じゃ済まないから」
生徒会長は妖しく微笑みを浮かべ小指を立ててマイクを握り、爪先で軽やかにクルリと回った。
「ここにいる副会長が黙ってないからね」
生徒会長は副会長を指差しうってかわって晴れやかな笑顔を見せる。
「「なっ…」」
副会長と書記さんは赤い顔でハモり慌てて会長を見た。
「ええ~…この副会長…。見かけよりか・な・り強いからね。君らのデータ見せてもらったけど、たぶんここにいる新入生は誰も勝てないよ。嘘じゃないから。
ほら、藍原も何か言って。最初が肝心だからビシッと。ガツンと…ほら」
会長は副会長に無理矢理マイクを押し付ける。
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