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思いっきり笑ったものだから、タンの出もよかったらしく、スイット立って流しに行き『ペッ!!』と同時に右足を思いっきり浮かしていたことが何よりの証明である。
要するに、加藤順はハゲのクセにケンカっぱやくて、何かというとすぐにナイフで相手の太股を刺すクセがあるらしい。
「塩釜―7」
半グレが呼ばれた。係りの警官が入ってきて手錠をかけた。
「また、どこかで会えますよね」
「俺、間違いなくムショだから。そのうちにな」
「身体気をつけて」
「ありがとう」
こうして男の友情はしばらく離れていくのであった。
まるで入れ替わるようにまた連れて来られた。若き日のモリタケンサクのような、さわやかな感じのする男だ。俺のほうの椅子に座った。早速スキンヘッドが聞いた。
「どこから来たのすかや?」
「仙東です」
「何したのっしゃ?」
「ま、一応、窃盗ということで…」
「窃盗かア、ハハーン」
またタンが絡んで来たぞ。
「お宅は?」
モリタケンサクは遠慮気味に聞いている。
「殺し!」
サブの目が険しくなった。
「相手は六人、こっちは一人。相手は全員チャカを構えている。ワシの手にはマシンガン」
サブはマシンガンを構えた。
モリタケンサクはベンチの隅のほうに寄って恐るおそる見上げている。
「その内に相手のチャカが、パンっと来た。ワシの肩を掠めた。ワシャ頭にコーンと来たね。コーン。マシンガンをこう構えて」
サブはモリタケンサクにマシンガンを向けた。
「いきなり、ダダダダダダ」
サブは身体を震わせながらモリタケンサクを撃っている。
「ヒヤーッ、キャアーッ!」
モリタケンサクは、ベンチに両足を乗せてケツを滑らせて後ずさりしたが「ガチャン」と、鉄格子と金網に身体をぶつけながら怖がって震えている。サブは許さない。
「ダダダダッダダッ、ハハーン、ダダッ、ハハン、ンン、ダダダ、ウン、ダ、ウン!」
「?」
モリタケンサクは妙な顔をしてサブを見上げていた。
「ウ、ウ、ウン!」
「!! ヒャー……」
サブは、マシンガンを片手に抱えて、流しに来て痰を思い切り吐いた。
と、またすぐ、マシンガンを構えて今度は天井や壁を身体をターンさせながら撃っている。
「ダダダダダッ、ダ、ダダダダダ…」
モリタケンサクは俺のそばに逃げてきた。
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