数奇な世界

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  教授「んもう一度言いましょう ピンポーン」 「はぁ?」 意味が分からずリアクションが取れないのだろう 会場が静まり、期せずして教授の次の言葉を待つ形になる 教授「ん現在の電子音、インターホン エレキギターの音でもいい あの音が、江戸時代に社の中から聞こえて来たら 鬱蒼とした森の中から聞こえてきたら きっと神の仕業と言われたでしょう それと同じ類だと思えませんか?」 最近ガリレオの名でメディアに出はじめた准教授だ ガリレオの生まれ変わりというほど頭が良いというワケではない ガリガリ痩せているのにライオンの様な髪型とヒゲをしている事から テレビではいつの間にかそう呼ばれている だが、彼の的確な理論に捕まれば相手は100%逃げ場の無い袋小路に追い込まれる しかも、話は小難しくかなり退屈だ 正直、空気の読めない者でなければだれも絡みたくはないだろう いったい誰が呼んだのだ 「馬鹿馬鹿しい 何がピンポ~ンですか 江戸時代に電気なんて無いんだから電子音なんて有り得ないんですよ もっと歴史を勉強しなさいな」 …空気の読めない者がここにいた 司会が目を見開く それをカメラは見事に捉え、画面に大映しになる 無知はお前だろ、エレキテルを発明した平賀源内知らないのかよ! …と、いう顔ではない もちろん、バカ野郎!空気読めよ!って顔だ  
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