数奇な世界

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  ガリレオの一人舞台は暫く続き 結局、よく分からないまま番組は終了した 先輩が資料として選んでくれた、あのパスタマシーンに関する動画 その数、実に12本 落札までの間にこれを僕が見て研究しろとの事だけど あのパスタマシーン ホントに落札できると決め付けて構わないのだろうか 再びテレビ画面の中、次の動画が再生される 作るのはパスタ斎藤 自宅に本格的な製麺所を作り 休日のすべてを麺料理に捧げ 現在、離婚の危機にあるという筋金入りの麺芸人だ 「太さの設定は1.4 」 服部「ほう、フェデリーニですか」 「はい、分かる方には何をつくるか大体想像出来たかと」 「知らんがな」 「はい、投入」 「ハンドル派と意見は別れてしまいますが 私は電動に愛着がありまして こうしてマシンの正面から生まれ出てくる様を見ていますと 愛しい我が子の様に思えてしまいます  スイッチオン♪」 麺状にカットされた生地が滑らかに垂れ落ちる 「出てきましたね ああ~愛しい なんて愛嬌のある動き、ほら まるで生きているかのよう コンニチハ~お名前は何でチュか ボク、フェデリーニ スパゲティーとカッツェリーニの中間の麺ダヨ」 「お前のフェチズムはどうでもいいし、その下手な腹話術もいらないから」 「では、さっそく茹でてみましょう」  ・  ・  ・  ・  ・ 「そろそろかな」 一本、指で摘んでチュルンと頬張る 「ん…」  
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