数奇な世界

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  眉をしかめ、動きが止まった 司会「どうしました?」 「…この時点でマズイです」 会場がドッと笑い声で膨らむ 司会も笑いながら 「ちょ、茹でただけでしょ」 「はて、時間も硬さもいい塩梅なんですがね」 「水では?」 「さっき私が目の前で開封した水ですよ?」 「じゃあ、生地でしょ」 「さっき食べたのと同じ生地です」 素で応える斎藤に、冗談やネタで無いことが周りに空気で伝わる 会場の空気が変わった 斎藤「…とりあえず盛りましょか」 ボールに投入されたパスタに沿え付けの野菜が投入される チーズ、プチトマト、ルッコラ そしてオリーブオイル ボイルされた大粒の海老 そして、バジルソースがかけられ丁寧に混ぜられる 中尾「ほう、ジェノベーゼですか」 画面いっぱいに映し出されるその皿は 照明も相まってきらびやかに輝く 「おお~」 スタジオから羨望交じりの歓声が上がる 司会「みなさん、この料理 ここからが凄いんです」 待ち受けるテーブルには料理評論家、グルメタレント、レストラン調理師らの姿 これはそうそうたる面々だ それぞれの前に綺麗に盛り付けられたパスタが並ぶ 彦摩呂「わあ、キレイ まるで、芝生の上の王子様やぁ~」 相変わらずのリアクションだ 中尾「美味そうじやないか」 自慢のマフラーを後ろへ回し、臨戦体制に入る  
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