数奇な世界

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  その頃 東京 みえる人 男「これは…」 坊「無理!」 マダム「うん、無理ね」 道化「さすがにこれは、そっと☆閉じ」 超老舗洋食屋 宇宙的未来 その厨房(調理場)への扉を開け、中を見た4人だったが 顔を見合わせそのまま扉を閉め踵を帰した 営業を停止して完全に使われなくなった厨房 その広い"無人"の厨房は眠るように ふたたび静かに明かりを消した 坊「寿司、食うか」 マダム「広尾に行きたいカフェがあるの」 男「いいや、まずは海だよ」 道化「おみ☆やげ、何がいいかしら」 坊「これから寿司食べに行くかって聞いてるの、俺は」 相変わらず意見が合わない 坊「東京ならカマキリ文太と大泉のパパか」 男「呑んべいばかりじゃないか」 マダム「青山レイラとレリゴー姉妹もいるわ」 男「…絶対スイーツ組でしょ」 道化「東京、同業☆者多すぎだよ」 マダム「結構食べてけるからねー」 道化「そいえば、どす☆こい吾朗も来てるんじゃなかったっけ」 マダム「どすこい吾郎ね」 坊「名前に☆を入れるな、☆を」 「はーい☆」 男「吾郎、確か九州だよね」 マダム「ん~ やっぱ、食ってけないんじゃないかしら 飲食店に勤めてるって話よ」 坊「あの吾郎がか?」 マダム「あら、あの子、もともと料理人目指してたし」 坊「でも、こっちの商売は続けてるんだろ?」 道化「調理で副☆収入ね …ホント、コネ無しで食べてくのって大変 一生もんの手に職もってるのにね」 坊「おいおい、辛気臭くなるからやめろ」 マダム「とにかく、戻って報告よ それから決めましょうよ」 あまりにも早い戻りに驚いたのだろう 若いオーナーは少し戸惑った様子だったが 期待と不安の混ざった微妙な笑顔で尋ねてきた 「もう、終わったのですか?」 道化が男の顔を見る 坊も、お前が言えとばかりに男の肩に手を乗せる 男は仕方が無いなとばかりに口を開く 「オーナー、出直します 月末まで時間を下さい さすがにこれは…僕らだけでは手に追えませんから」  
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