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テーブルの上には例のパスタマシーン
それを若い女性が眺めている
テレビカメラが引き、少し腰の引けた司会の姿が映し出される
司会「どうです、何が見えますか?」
「ん、 少し黙ってて下さい」
彼女はスピリチュアリ・スピカ
スピ子の呼び名で知られた、霊と対話が出来る占い師だ
スピ子「ちょっとわかんないですね
でも、後ろに女性が立ってるんですよ
調理服を着た、外人の女性です…50歳くらいかなぁ」
司会「え?そう? 居るの?後ろに?」
彼女と少し離れたテーブル席にいる大きなトンボグラサンの女性はマダム霊子
絶えずインチキ臭いイメージを持つ彼女だが
何者に対しても歯に絹着せぬキャラと
霊能者と掛け離れた銀座マダム的な美貌と衣装
そのギャップが人気の三十路の霊能者だ
「あら、何か聞こえたわ」
そう言いながらマシンに歩み寄るマダム
浜田「アンタ、さっきまで何も見えない言うてたやないか」
さっきまで霊は憑いていないと豪語していたマダム霊子
あきらかにスピカの言葉に便乗しようとしている
きっと、彼女の次のセリフは「私にも見えるわ」だろう
実にうさん臭い
「ん~ ココかしら?」
マダム霊子はサングラスを外し、生地の投入口を上から覗き込む …と
「ギャーッ!」
突然叫んで、そのままスタジオから出てってしまった
浜田「なんやあのババァ」
「マダム霊子さんでしたぁ」
司会が慌てて取り繕う
浜田「アレ、見てみい」
スタジオの隅で、ADらしき女性が指でバツ印を作っている
松本「えーっ!」
浜田「出番、終わりかい!」
スタジオがドッと笑いで沸き上がる
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