これが噂のパスタマシーン

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  「こういうのはな、俺らギョーカイ人も狙ってるんだ テレビ関係のヤツらは確実にな」 「…それって、手強すぎませんか」 「ああ、そいつらには敵わない あいつら、後で採算が取れるなら金はいくらでも出すからな」 「先輩、やっぱ落札は無理ですよ」 チッチッチ 立てた人差し指を振って口を鳴らす あまりにも様になっていないが、そんな事はどうでもいい これは先輩のうんちく話が始まる予兆だからだ 「そいつらはオークションには参加しない 絶対にだ」  「なぜですか?」 「金の有るもの同士で競争なんかしたら、ハンパなく吊り上がるからな 下手すりゃ軽く100万は超えるだろうな」 「このパスタマシーンに100万円ですか?」 「やつらは元の値段なんてどうでもいいんだよ これで面白い番組が創れるなら安いもんだって思ってるよ」 「え?じゃあ、何で入札して来ないって言えるんですか?」 「だから、競争はしないんだ 普通の人が興味本位で落札する そこに現れるんだ 『倍の値段で譲って頂けませんか』ってな」 あ、なるほど ダメな先輩だけど、こういうとこだけは鋭い 「だから、お前のライバルは興味本位の一般人だ 使う予算もそれなりだろう」 「僕の入札するお金は経費ですよね」 「ああ、お金は経費で落とす タップリとな だからお前は心おきなく落札しろ」    
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