新米教師(主人公)武蔵野は、頼れる変人さんに出会う。

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*** 「おはよぉございまぁす」 井戸端会議に興じる近所の奥様方に、みさきは大きく手を振ってごあいさつする。 「まあ、おはよう。みさきちゃん」 「いつも元気良いのねぇ」 「いってきまーすっ。ばいばぁいっ」 「「いってらっしゃ~い」」   見慣れた光景と共に、本日もみさきと手を繋いで保育園に向かう。 たまに行かされる事があったこの行為も、1年前からは日課になった。 毎日毎日、明るい笑顔を振りまきながら、僕の姪はだれそれ構わず近所の人と挨拶を交わし、自らの通う“さくま保育園”へトコトコと歩くのだ。 みさきの送り迎えは、確かに面倒だと思う時もままあった。大学の講義がない日も朝っぱらからやかましく起こされ、サークルやバイト仲間との遊びや飲み会にも滅多に行けず。 正直うんざりしたことも数え切れない。 でも今は仕方がないと、割り切っているのも事実だ。 家にいられるより、保育園に行っててくれたほうが何倍もいい。今は専らそういう発想に持っていく。 休日までも姪のリフレッシュタイムに浪費するよりはずっとずっと。
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