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『お疲れ様でした』
広い部屋に入って来た男が椅子に座っている男に声を掛けた。
『お疲れ、ショーキチ』
男は立ち上ってショーキチと呼ばれた男の肩をポンと叩く。その顔は自信に溢れていて、一片の曇りもない。ショーキチは少しだけ視線を落として頭を下げた。
ショーキチは去っていく男の後姿をじっと見つめる。
彼こそがEXILEのボーカリスト、タカヒロ。
ショーキチはただその後姿を見つめていた。
「本当なら俺があの場所にいたかもしれないのに…ってか?」
いきなり聞こえた声にショーキチは振り返る。そこには知っている顔があった。
『愁平?』
古い付き合いの愁平…だが、その姿はショーキチの知っている愁平とは違っていた。
『お前がなんでここにいるんだよ?ここは…』
「俺はSWAY」
『は?何言ってんだ?』
ショーキチが訝しげな顔をしているのにSWAYは気にせずに続ける。
「あいつのせいでお前が歌うことはない。お前はこの中じゃパフォーマーでしかない」
SWAYの言葉にショーキチは唇を噛みしめた。
確かにその通り。俺は、あの人に負けた。
でも、あの人の歌は俺よりも…
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