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「麻衣…」
「開放された?」
「あぁ~。これもらった」
「わぁ~綺麗な花束!!」
会社帰りに駅で待ち合わせをして、
裕の家に向かった私たち。
最後の料理に何を作ろうかと迷った挙句
数少ないレパートリーから選ばれたのはロールキャベツ。
「お前結構、料理うまいな」
「そう?少しは見直した?」
「あぁ…しばらく食べられないと思うと寂…」
急にピタッと箸が止まって口を閉ざした裕と、ふいに目と目が合った。
この1ヶ月間。
“寂しい”とか“辛い”とか、そういう言葉にお互い触れないようにしてきた。
そうしようって決めたわけじゃないけど、
裕からは一度も聞いたことはないし、
私も言ってない。
悲しい言葉を口に出しても何も変わらない現状を実感したくはなかったから。
裕も、そう思っていたのかな…。
改めてロールキャベツを
口に運んだ裕は、美味しい美味しいって言いながら笑顔で食べてくれた。
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