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「でも本当に急だよね…門田部長も…」
「飛び入りだからな…」
ご飯を食べ終わった後、ソファーでコーヒーを飲みながらくつろいで、
もうこれで何度目だろうと思うくらい時計を眺めては
あと10時間後にはいなくなってしまうと思うと、
どうしようもなく寂しくなって、裕の胸に顔をうずめた。
「甘えん坊…」
こんな日々が送れるのも、1年後。
当分会えない裕の顔を、
この目にしっかり焼き付けておこうとチラッと見上げたら、
想像以上に優しかったその顔が嬉しくて、じわっとにじんだ涙。
裕といる一日一日が幸せすぎて、覚悟はできてるつもりでも、
明日なんてこなければいいのに…
ついそんなことを思ってしまう。
私の頭をゆっくりと撫でながら
「明日…行くよ」
耳元で聞こえた裕の声。
「うん…」
わかってる。
わかってるのに、
改めて聞いた言葉が
本当にいなくなっちゃう…そう実感したら、涙は次々に溢れてくる。
でも泣いたらダメだ…。
裕に泣いてる私の顔が
1年間残ってしまう。
慌てて流れてくる涙を両手で拭った。
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