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「絶対バレんなよ」
コーヒーカップから昇る湯気に向かって、ふーっと、ため息にも近いそんな息を吐いた裕。
「なんども聞いたよ…」
「今日だってなんだあれ?」
「えっ!?」
ソファーにドスンっと寄りかかって、
テレビのリモコンを片手に裕が電源を落とすと、
部屋は耳が痛いほど静まり返った。
「社内で裕って呼んだだろ?」
「あ、あれは間違って…つい…」
近くにいたのは明石さんだけだったし、
誰にも聞こえてないよぉ。
なにもそんな血相変えて怒らなくても…。
「何回も言ってんだろ?夫婦は同じ部に所属できないの!!」
はい。
もう耳にタコが出来るほど何度も聞きました。
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