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「ふふふっ つぎからきをつけまっするどりーむっ」
……全然伝わってないし。
そりゃそうか。こんだけ酔っ払ってるんだからと自己完結させてたら、
ちゅっ
「…………」
またしてもキスされた。
しかも今回は的を外さず、きっちり当ててきやがった。
すぐに離れたかと思うとまたもや悪びれた様子もなく、だらしなく笑ってる。
「気安く男にキスなんかするもんじゃないよ」
「せんぱいだからするんですもん」
「次したら怒るから」
ちゅっ
「……………」
…………コイツ。
俺が何もしないことに安心してるのか、はたまたこの俺で遊んでるのか。
どっちにしろ腹ただしいことに変わりはなく、ボケっとしてる顔を引き寄せた。
「……っ!…」
唇を当てた瞬間、驚きのあまり肩がビクッと跳ね上がらせる。
微かな隙間に舌を押し入れ、相手のそれと絡めた途端に森田さんの身体が強張った。
必死に応えようとする動きがぎこちなく、しがみつくように俺の身体を抱きしめる両腕の力は頼りない。
慣れてないくせに、と悪態をつきながら離れると、ただでさえ火照ってた頬が紅みを増して瞳は妙に潤っている。
「下手くそ」
「…………」
なじられた忠犬ハチ公は口をへの文字にして、何も言い返さずに俯いた。
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