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怒られた子供みたくしょんぼりしてるおぼつかない足取りの森田さんを引っ張って歩く自分はまるで子守りをしてるよう。
なんとも笑えない光景を呆れながら駐車場入り口に着くと、森田さんは後ろから抱きついてきた。
「…次はなに」
「ゆうかちゃんと付きあってるんですか」
「は? 優香?」
あー、なるほど。
あん時、無視して行こうとしてたのはそういうことね。
森田さんのくせにって思ってたけど、ヤキモチか。
「気になんの?」
返事の代わりに抱きついてる腕の力がこもり、こくこくと背中で頷かれた。
高校生か、コイツは。
「優香は妹だよ。古賀 優香」
酔っ払い相手に意地悪しても意味ないから、普通に答えた。
すると「くくくっ」とほくそ笑んでるであろう気味の悪い声がして、すぐに「その声やめて」と制すと、ピタッと静かになる。忠犬そのものだ。
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