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よっぽど喉が乾いてたのか、飲み終わった顔は開放感に満ちていた。
「生き返った…………」
「それはよかった」
ところが俺を見るなり鳩に豆鉄砲みたく目をギョッとさせ、辺りを見渡す頭からカクカク…と歯車の音が聞こえてくる。
バカなのは重々承知してたつもりだったけど、実際は俺の想像をはるかに超えていた。
「あの、…私なんでここに?」
……………待て。
待て待て待て。
「もしかして何も覚えてないの?」
「えっと…………」
「電話かけてきたんでしょ。迎えに来て欲しいって」
「だ、誰が?」
「森田さんが」
恥ずかしさから嘘をついてるのかと疑う余地もなく、スマホを確認する森田さんの顔は瞬く間にムンクの叫びに変わっていく。
そして、ここは夜中2時を過ぎたホテルの一室。
「まままことにっ、すみませんでしたっ…!
まさかここまで迷惑を…本当に誠に申し訳ありませんっしたぁっ!!」
布団に突っ伏したままあげた舞台男優なみの雄叫びはおそらく廊下にまで響き渡ったであろう。
めちゃくちゃ笑ってしまったけれど、明日にでも部屋を変えた方がいいかもしれない。
もちろん、コイツのせいで。
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