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いつ眠気が襲ってくるかも分からなかったから、泊まるように勧めたのだけど、思いのほか俺を意識していた。
「私、帰りますよ!タクシー拾えば大丈夫です!」
顔面真っ赤にして断りを入れてくるが、何か起こるかもしれないと勘違いされているならば、跡形もなく消してあげるのが本当の優しさというもの。
「警戒しなくても森田さん相手に何もしないよ。そこまで困ってない」
「…別にっ、警戒とかしてませんし!」
口で言ってるわりに目はワナワナと狼狽えていた。
相変わらず、分かりやすいことこの上ない。
それから森田さんは部屋を見渡して、不思議そうに首を傾げた。
「もしかして、ここで暮らしてるんですか?」
「あぁ。夜はここが多い」
「家は他にあるってことですか?」
毎週のようにここにいることは家族の優香も知らないし、森田さんがあそこまで酔っ払ってなかったらもちろん連れて来ない。
「それよりシャワー浴びてきたら?」
単純細胞はすぐにシャワーに気が向いて、このことについて踏み込んでくることはなかった、のだけれど。
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