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改札口を出た途端、抜けた肩の力と一緒に盛大なるため息が出ていた。
今日も、めちゃくちゃ疲れたな…。
それでも光を責めようとは思わない。
彼女自身、本気で焦っているし、私の為を思って言ってくれているのも分かってる。
ふいに空を見てみた。
果てしなく広がる闇。輝く星なんて、一つもない。
「夢見る歳ではない、かぁ」
ポツリと無意識に発していた声は攫われたように、湿った匂いのするそよ風に消えていく。
色褪せた虚しさが身体の中へ溶け込んでいきわ心の中で僅かながら残っていた暖かいモノまですーっと冷たくなっていく。
人生って、なんでこんなに上手くいかないんだろう?
小学生から大好きだったマンガ。誰もが目を奪われるような主人公もいれば、私みたいな平凡な子だっている。
ドキドキする恋愛や、不安に駆られる恋愛。
胸が苦しくなるほどの切ない恋でも、みんなキラキラしてる。
私も大人になったら、こんな恋愛がしたいってずっと憧れていた。
叶わない子だって中にはいたけれど、一生懸命想った先には、どんな形にしたって報われていた。
彼女たちのようになれるかもしれないと、憧れは徐々に願望へと変わり、いつしか信じて疑わなくなるほどに。
だからこそ突きつけられる現実とのギャップは、あまりにも残酷で、受け入れ難い。
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