痛い女の実態とは

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「おい、森田」 会社に着いて、椅子に座って2秒も経ってない。 「なんだこれは?」 目の前まで突きつけられたのは昨日、私が作成した会議の資料表。 表紙を見る限り問題は無さそうだが、声色からして問題しか無さそう。 取って確認をしようとしたら、スッと資料が横に移った。 右手が目的物を見失った矢先、いきなりドアップで映ったのは今日も麗し過ぎるお顔。 「なんで三頁目の終わりと四頁目の始めがタブってんのか、5文字で答えろ」 「す、すいませんっ!」 「1文字オーバー。はい、逝ってこい」 コンッ 頭上に舞い降りた資料チョップ。 「これ、なかなか痛いっす…」 「入社3年目でなにこの笑えないミス。死にたいの?」 「死にたくはないです。生きたいです」 主任、神谷 敦子、31歳。 荒々しいな口調だが、歴とした鳥肌が立つほどの美人な女性。 黙っていれば、素晴らしいアジアンビューティー。 大梅株式会社、主に呉服やテキスタイルを扱うそこそこ大きい専門商社。 彼女はアパレル部門事務職主任で、私を含む事務員数名は彼女の下僕…いや、部下である。
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