痛い女の実態とは

6/24
前へ
/605ページ
次へ
『なんでそんなに私に突っかかってくるのよ?!』 愛っ、もう分かってあげてよっ。 鉄也はずっと前から… 『なんで分かんねーんだよっ!』 『だから何をよ?!』 鉄也の押し付ける、獣のようなキス。 二ページに繋がって描かれた、正に純愛シーン。 愛の見開いた瞳から、驚きがひしひしと伝わってくる。 途端に身体の芯から熱いものがグッと込み上がってきた。 『…好きだからに決まってんだろ』 真ん前には見惚れるほどの美顔様が座っておられるのは百も承知。 …しかし、だ。 あああぁああ!もう我慢の限界っ! 「キュン死にするぅーっ!!!!!」 「その流れで一回死ねや」 「っ…!」 いきなり持ち上げられた、神谷さんが使用している神々しい剣…に見えた、割り箸。 次の瞬間には、底を向けられたソレは槍のように容赦無く頭上に落ちてきた。 い、い、い…。 頭を抱えて痛さで声すら出ない私に、悪びれる素振りもない神谷さんはチキンカツを再度咀嚼し始める。 何度も経験しているけれど、この激痛に慣れる日は来なさそうだ。 でも、いいんだ。 『アイする、アイちゃん☆』読めたんだから。 愛と鉄也、キスできたんだから。 …頭、めちゃくちゃ痛いけどさ。
/605ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3725人が本棚に入れています
本棚に追加