花火のように

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「うん、まぁそうだね。ちょっとした知り合いがいてさ、顔出しに」 「もう、終わったんですか?」 「うん、終わってもう帰るところだったんだ。帰る前にこコンビニに寄ったらこれ出ててさ」 彼はさっき声に出して笑えた漫画雑誌を指差している。 「おたくは?」 今度は、私に質問してきた。 「この病院に入院しているんです」 「そうなんだね」 君の顔が少し暗くなった。 「さっきの漫画、おもしろかったです。初めて漫画で声に出して笑いました」 「ホント!?まだオススメの漫画たくさんあるんだよ!良かったら貸してあげるよ」 「えっいいんですか?」 そんな君との出会いだった。 君が私の入院している病院にお見舞いに来てくれる日々が始まった。 君の名前は、清水 政太(きよみず せいた)と言った。 私は、仲間 奈々子(なかま ななこ)と名乗った。 同じ16歳だった。 16歳と言ったら高校一年生だったが、私は小さい頃から病気がちで学校も休むことが多かったので、授業についていけず進学はできなかった。 君は高校に入るも周りと合わなかったようですぐに学校を辞めたと言っていた。 だからお互いに時間は、有り余るほどあった、とは私のほうは言えなかった……。
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