花火のように

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花火大会から数日が過ぎた。 あのキスと私の死の告白から君はもう私のところへ来てくれなくなった。 やっぱり言わなければよかった。 誰でももう死んじゃう人と一緒にいたくないよね。 私はまた一人になった。 早く死にたいと思った。 そんな私を見て両親は励ましてくれたが安い同情にしか思えなかった。 生きながらして私の人生は終わりを迎えていた。 そんな死んだ日々を送っていたときだ。 君から手紙が届いた。 私はすぐに封を開けてその手紙に飛びついた。 『ごめんね。急にいなくなってしまって。 きっと心配かけたよね。 奈々子のことが嫌いになったわけじゃないんだよ。 でも理由があって毎日、顔を出すことが難しくなった。 少し待っててくれないかな。 良かったら手紙で文通しませんか?』 文章の後には君の家の住所が書かれていた。 私はその日のうちに手紙を書いた。 『大好きな政太へ 花火大会から会えなくなってさびしかったよ。 私があんな告白をしたからもう私のことは嫌いになっちゃったかと思ったよ。 でも、こうして手紙を送ってきてくれて安心しました。 しばらく会えないのはさびしいけど、きっと大事な用事があるんだね。 政太のことを信じて待ってます。 私たちは携帯電話を持ってないからこうして文通できるのは嬉しいな。 返信待ってます。 大好きな政太へ 奈々子より』 それからしばらく手紙でやりとりをした。 君からの手紙は私の生きる活力だった。 でも私の体力はどんどん落ちていった。 『早く政太に会いたいよ』
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