花火のように

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君の家のアパートのチャイムを押す。 母親らしき人が出てきた。 母親は、疲れた顔の印象を受けた。 自己紹介を簡単にして君がいないか尋ねる。 すると返事もせずに「政太!政太!」と奥に入っていってしまった。 すぐに父親らしき人物が出てきて「ちょっと入ってくれないか!?」と焦った様子で私に言ってきた。 私はわけもわからず、周りの焦りに合わせて家の中に入った。 そこに君はいた。 ベットに横たわり、点滴を打たれ、部屋には親戚らしい人たちが集まっている。 中には白衣を着た医者もいた。 なんとなく、状況が掴めた。 「政太!」私は人目をはばからず大きな声を出した。 母親が言う。 「政太はずっとあなたのことを話していたわ。あなたと手紙のやりとりができなくなってすごく悔やんでいたわ」 私の瞳から涙が流れた。 「今夜が最後よ」母親がそう言い、泣き出した。 「政太!どうしてなの?死ぬのは私だと思っていたのに」 政太の口元が動いた気がした。 父親が医者に頼み、酸素マスクを外した。 「奈々 子 ちゃん  あ り が と」 君の最後の言葉だった。 こんな結末は望んでいなかった……。 君はもう違う女の子のことが好きで、死ぬと思っていた私が元気になって現れたからもう一度やり直そうとか言うけど、私は君を罵倒して帰ってやろうと思っていたのに。 『こんなのゼンゼン、望んでイナイ!』」 君も恐かったはずなのに、 あんなに私を励ましてくれた。 私が死ぬはずだったのに君がいなくなるなんて。 帰り際、君の母親から君が最後に送ろうとした手紙を渡された。 まだ、全部、書いていないからとっておいてと言われたらしい。 その手紙には、ふにゃふにゃの一言、こう書かれていた。 『僕の分まで生きて』 私は涙が止まらなかった。
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