藤咲ゆうの場合 01

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また、だ。 心臓がキュッとしてジクジクと痛む。 日に日に増していく痛みは、いつも彼らを見ているときだった。 でもどうしてなのか、答えは今だわからないまま。 ただ、黒いなにかに飲み込まれそうな自分を、必死に抑えるしかなかった。 「ゆう、帰ろーぜ」 視線を机の上に代えたとき、頭上から声がした。  見れば、先ほどまで二人っきりで仲良く話していた彼がいる。 「あ、それとも、もう少しいる?」 広げられた教科書やノートを目にした彼は、微笑む。 「ううん、帰る」 私は椅子から立ち上がって適当に片付けた後、少し離れて立っていた彼女に問い掛けた。 「葵ちゃんも、一緒に帰ろ?」 「あたしはまだ、学校に用事あるから」 「よーし、じゃあ帰るかー。葵、また明日な」 ひらひらと手を振る彼に合わせて、私も振った。 葵も、またあした、って笑って言って。 だけどどこか寂しさを含んでいるように私には聞こえた。 知っているから。 だから、わかる。  葵ちゃんは、達也のことが、すきなんだ。
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