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◇
それから月日は流れ・・・。
「・・・という理由で、出家したんだよね」
浅見樹改め、五明法蓮は隣に座る女に話を終えた。
ここは隣の女の部屋。
法蓮は現在巡礼修行中だが、時々彼女のところに立ち寄っている。
「中学卒業したばかりでよく決心したわね」
「あの頃は変に熱くなっていたんだろうな」
でも後悔はしていない。
出家してからもいろいろあったが、とりあえず順調だ。
「それで女難の相は退けられたの?」
「ああ、もう大丈夫だ」
「本当に? 私以外に女はいないの?」
「いないよ」
「他にもこうして過ごす女の家があるんじゃないの?」
法蓮はハハハと軽く笑った。
「ないない。あとは野宿か、寺の軒先を借りるだけ」
法蓮の言葉に女は嬉しそうにほほ笑んだ。
「次はどこへいくつもり?」
「親戚のおじさんから、家に悪霊が取り憑いているようだから助けて欲しいってラインが来ているんだ。そこに行く予定」
「暫く泊まり? そこに若い女はいないでしょうね」
女は法蓮が浮気をしないか、心配でしょうがないようだ。
「いたとしても、心配無用。チュッ」
法蓮は熱いキスで女の口を閉じさせた。
完
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