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樹は田んぼや畑を眺めながら、通学路となる山の横の狭い道を歩いた。
道の途中に小さな山寺がある。
その寺の門前には汚れた着物姿の小さな女の子がいつも立っている。
― この世ならざる者
おそらく樹以外の人間には見えない女の子。
その子は樹を見ると必ず掛ける言葉がある。
「私を殺すの?」
「・・・」
その言葉を聞くと樹の心はざわつく。
毎日朝夕、この女の子は前を通る樹に言う。
「私を殺すの?」と。
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