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「この子はどうしてここにいて、何に囚われているのだろう」
その意味を考えて、考えて、樹はようやく一つの結論に達した。
― この子は誰かに殺された子だ。
殺された時の恐怖から、近づく人全てに「私を殺すの?」と確認せずにいられないのだ。
それで樹は女の子の供養をお願いしようと、寺にいた30代半ばくらいで精悍な顔つきの住職に門まで来てもらい、女の子を指して言った。
「ここに着物を着た小さな女の子がいます」
「ここに?」
住職には見えない。
「その子は殺されて死んだようで、苦しんでいて成仏できないようです。その子の供養をお願いできませんか?」
「そうか・・・。よし! 分かった!」
住職は仏様の前で女の子の成仏を願う読経をしてくれた。
供養が終わると、女の子は二コリと微笑んで消えた。
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