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「よかった。女の子は成仏したようです」
住職は樹に感心した。
「君は普通では見えないものが見えるんだね」
「あ・・・」
自分は見えるから当たり前のように女の子の供養を頼んだが、普通は信じないものだ。
住職は樹の言葉を疑うことなく信じてくれた。
「信じてくれて、ありがとうございます」
「ハハハ。そういう仕事だからね」
住職は明るく笑った。
「最初と表情が全然違うよ。気持ちが軽くなっただろう?」
「はい」
今は清々しい気分だ。
住職は樹に言った。
「君は普通の人にはない能力がある。その力を人助けに使うといい」
「この力で人助けを?」
自分には人にない力があることは知っていた。
でもどうやってそれを生かせばいいのか分からなかった。
「世の中には目に見えない世界があり、不思議な出来事が起きているものだよ。でも目に見えないから原因が分からず困っている人達も沢山いる。君にはその人たちを助けられる力がある」
『自分の力が人の悩みを解決し、助けることができるのか。やってみたい・・・』
樹は少しだけ生きる目標が見えた気がした。
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