なぜ生きる

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そこに如月花音(きさらぎ かのん)がやってきた。 如月花音は三つ編ヘアに眼鏡を掛けたおとなしいタイプ。 でもその眼鏡を外すとなかなかの美少女だと、いつも悠斗は樹へ伝えている。 そして「あいつ、お前のことを好きなんだぜ」と余計な情報まで教える。 それを知ったところで、樹は何かをするつもりはない。 だから知らなくていい話だ。 如月花音は樹を見つめて照れながら言った。 「浅見君・・・」 「お、忘れていた」 悠斗は樹に訊いた。 「何を?」 「役員会だった」 樹は如月花音とともに生徒会役員だ。 「ちょっと行ってくる」 樹は立ち上がった。 「オレは先に帰るぞ」 「ああ」 出て行った樹の後ろを嬉しそうに付いて行った如月花音を見て、悠斗はニヤニヤしながら呟いた。 「しのぶれど 色に出でにけり わが恋(こひ)は、だな。エエなー」
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