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定例役員会が終わると、もう夕方で外は暗くなりかけている。
樹が昇降口にいると、花音もまた一人できた。
「浅見君、一人で帰るの?」
「ああ」
「話があるんだけど、ちょっとだけいい?」
「・・・」
樹は靴のつま先をトントンと叩きながら黙って待った。
「・・・・・・・・・・・」
花音はモジモジしていて一向に話さない。
仕方ないから樹から催促した。
「まだ? 早く帰りたいんだけど」
「ご、ごめんなさい。無理に引きとめちゃって」
如月花音は頭をピョコンと下げると、走って帰っていった。
「おい・・・」
引き留めておきながら何もなく、しかも先に帰られて、こっちは置き去りにされた気分。
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