日常はなんとなしだが簡単に崩れるものである

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「困りましたね」 いやはや就職氷河期といったもので内定率99パーセントと言われた我が母校も見事に撃沈。 「・・・・入学時点で危ないなら言って欲しいですねえ」 黒い髪をオールバックにした片眼鏡の長身の青年はため息をつく。 彼の名前は黒峰顎(くろみねあぎと) 身長は190を越しながらも絞り込まれた肉体を持ち端正な顔立ちから近所でも有名な美青年だ。しかもこの青年は・・・・。 「黒峰え!!」 「・・・やれやれ勝村さん達もめげないなあ」 「へへ、てめえみたいな逸材を俺らが逃すわけないべえ?」 目の前にいるのは黒服のいかにもな人間達。 「いやいや就職がそちら側なんていやですよ、余り暴力好きじゃありませんし」 「族100チームとあぶねえ職種の奴らを1000人単位で潰した奴に言われたかねええなあああ!!」 「・・・・火の粉を払っただけですよ」 顎はふうとため息をつくと 「・・・明日バイトなんで手早く済ませますよ」 「ひょ?」 人間達が宙を舞う。 「・・・・見事につまらない描写でしたね」 やれやれと顎はふうとため息をつく。 「助けてくれ」 「・・・・また面倒なイベントがおきそうな」 顎は声のする方を見ると 「・・・最近の銀の指輪は喋るんですねえ」 「・・・未だかつてそんな冷静な反応をした奴はいなかった」 狼の紋様の銀色の指輪が道路の上で話す。 「・・・そうですか、では」 「何故立ち去ろうとする」 「いや普通に面倒なのは嫌なんですよ」 「いや青年ならば英雄に憧れるものだろう」 「・・・・何年前の青年像を思い描いてるんですか」 顎はため息をつく。 「まあいい、私の名前は牙、見ての通り装着すれば変身する魔導具だ」 「・・・・どこがまあいいかわかりかねます」 「まあ諦めたまえ、私を見つけた瞬間君の平穏は崩れた」 「・・・・理解しましたよ、なんですかその目の前の首なし騎士」 いきなり現れたの頭のない甲冑の騎士
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