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──あの後。気が動転していた俺は、なんと金髪の少女を引き連れたまま。家に着いていた。
って…あれ?
これって。誘拐とかになってないよね?
幸いなことに、お使いを頼んだ楓さんはどこかへ行ってしまっているようで。家の中には姿は見えなかった。
兄貴もおそらく、仕事中のため中々こちらの方へとはやって来ないだろう。
とりあえず、俺は金髪の少女をリビングへと通すことにしたのだった。
「え~っと…適当に、そこらへんに座っていいからねっ」ハハハ…
金髪の少女は、持っているウサギのぬいぐるみを力いっぱい抱きしめている。
そんなに抱きしめていたら、首取れちゃいそうだなっ。
たぶん。いや絶対だけど…俺。すげぇー警戒されてない??
良く考えてみれば、そりゃそうだろう。見ず知らずの相手に。それも自宅なんかに連れてこられたら、警戒しない方がおかしいってもんだ。
しかし。連れ込んでしまったあと。後悔しても、しょうがない。ならここは…。
「ほ~ら…。お菓子とかいっぱいあるから。食べてみる?」
金髪の少女の隣に腰掛けて、話しかけてみる。
「ひぇっ!?」
近づこうとしただけで、このありさまだ。
「えっと…ほら!そんなに、怖がらなくってもいいから!?ねぇ?お姉ちゃん、怖くないからさ?そ、そうだ…ママ探してるんだよね?お姉ちゃんも一緒に探してあげるから」
おびえている少女に、オロオロと戸惑いながらも。必死になってしまう。ここで泣かれたりしたら、俺は終わるだろう。
いろいろな意味でな。
「ほ、ほんとっ!?」
そういうと。パァ!!と嬉しそうな表情をつくるのだ。
相当、会いたがっているんだろうな…。
まぁ、見た感じ幼さそうだし。仕方ないよな。
こうして、この日。俺は一人の金髪の少女と出会ったのだった。
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