第1章 異世界からやってきました

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「んぐっ!」 慌てていた俺は、つい。思いっきり金髪女の口元を押さえ込んでいた。 「もごっ、ぷは!苦しいって!」 「て、てめぇが。いきなり変なことを叫ぼうとするからだろうが!?」 「これはお巡りさんに助けを求めても良いレベルかな?」 「は、はぁ!?なにいって──!」 「黙っててあげたいけど……あんな強引に襲ってきた事実は消えないし…ね?」 目の前の女は、ニヤリと勝ち誇ったかのように口元を緩めていた。 「ぐぅ・・・!」 「さて、私が何を求めているのかは承知してるよね?」 しまった・・・。 こいつの狙いは端からこれだったのか!! まんまとやられた! 「わ、わかった・・・協力してやろう。不本意だが・・・っ」 「よろしい!ならば手伝ってくれたまえ」 「なんか。釈然としねぇ・・・」 なんて、上から目線な女だ。 「あっ、言い忘れてたけど探してるのは二人ね。一人は黒いドレスを着た金髪のかわいい幼じ……女の子で、もう一人は銀髪のむっつりなんだよ」 「おい。抽象的過ぎだろうが。もっと、こう特徴とかねぇのかよ?」 こいつ、本当にその知り合いたちを探す気があるのだろうか? そう感じてしまうくらいに適当な答えだったのだ。しかも、一人はむっつりらしい。 「まぁ良いじゃない、さぁ共に行こうじゃないか!」 「……なんだか。先が思いやられるっ」ガックリ 肩を落とす俺とは裏腹に、意気揚々と片手を挙げて前へと進んでいく金髪女。 ぁ、そういえば…名前きいてねぇぞ。まぁ、別にいいか。そんなに長い付き合いになるわけもないだろうし。 ──と。このときの俺は、簡単に考えていたのだ。 こいつとの出会いによって。俺の日常が変化することに、まだ気づいていなかった。
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