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「──ありがとうございました~!」
そのころ、楓さんに買い物を頼まれていた姫乃は、会計を済まして。持ってきていたエコバックに食材やらなんやら…詰め込んでいた。
「はぁ~…。ようやく、買い物も終わったってとこね」
よいっしょ!と掛け声をかけて、バックを持ち上げる。
意外になんか…重たいかもっ。
男のころに簡単に持ち上がったものさえ。今は、重たく感じ、適当な理由をつけて士騎を連れて来れば、よかったと。ちょっと後悔する。
「まぁ…少しの辛抱だし。我慢しよう…」
店の外へ出たときだ。
何やら、たくさんの人だかり…マダム達の集団だ。
なんだ?特売でもやっていたのだろうか?
「──ちょっとちょっと!ご近所にこんな可愛いお子さんいたの?いくつなのかな?」
「本っ当にお人形さんみたいねー?」
「あうあ、え、えと、あのっ………」
お人形さん…?
通り過ぎる際に、そのような言葉が聞こえてくる。
まぁ。俺には関係ないし。それよりも早く帰りたい…。
そんなことを思いながら、マダム達の横を素通りした時だった。
「ママっ!」
「へ…?」
そういって、一人の金髪の女の子が、俺めがけて抱きついてきた。
状況が理解できない俺は、びっくりしたかのようにその場に固まってしまう。
え?え?なんだ…この状況は?
ママ?え?俺!?
「えへ、えへへっ」
しかも。抱きついてきた女の子は、嬉しそうにしている。おそらく、母親と俺を間違えているのだろうか?
ここは、申し訳ないが。現実に戻さなければ。
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