第1章 異世界からやってきました

8/10
前へ
/10ページ
次へ
「──ありがとうございました~!」 そのころ、楓さんに買い物を頼まれていた姫乃は、会計を済まして。持ってきていたエコバックに食材やらなんやら…詰め込んでいた。 「はぁ~…。ようやく、買い物も終わったってとこね」 よいっしょ!と掛け声をかけて、バックを持ち上げる。 意外になんか…重たいかもっ。 男のころに簡単に持ち上がったものさえ。今は、重たく感じ、適当な理由をつけて士騎を連れて来れば、よかったと。ちょっと後悔する。 「まぁ…少しの辛抱だし。我慢しよう…」 店の外へ出たときだ。 何やら、たくさんの人だかり…マダム達の集団だ。 なんだ?特売でもやっていたのだろうか? 「──ちょっとちょっと!ご近所にこんな可愛いお子さんいたの?いくつなのかな?」 「本っ当にお人形さんみたいねー?」 「あうあ、え、えと、あのっ………」 お人形さん…? 通り過ぎる際に、そのような言葉が聞こえてくる。 まぁ。俺には関係ないし。それよりも早く帰りたい…。 そんなことを思いながら、マダム達の横を素通りした時だった。 「ママっ!」 「へ…?」 そういって、一人の金髪の女の子が、俺めがけて抱きついてきた。 状況が理解できない俺は、びっくりしたかのようにその場に固まってしまう。 え?え?なんだ…この状況は? ママ?え?俺!? 「えへ、えへへっ」 しかも。抱きついてきた女の子は、嬉しそうにしている。おそらく、母親と俺を間違えているのだろうか? ここは、申し訳ないが。現実に戻さなければ。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

164人が本棚に入れています
本棚に追加