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一次会の居酒屋を出ると、道路が湿っていた。
いつの間に雨が降ったのだろう。
金曜日だというのに、街はそれほど賑わっていなかった。雨が降っていたせいかもしれないし、不景気だからかもしれない。
タクシーを捕まえようと路肩により、ふと思い立ち、踵を返した。
せっかくの金曜日だ。少し寄り道して帰ろう。
つまらない合コンにつき合わされ、好きな女にも会えない夜。急いで帰る理由などなかった。
それに、今夜の俺は少し気分が高揚している。
なぜなら…。
俺は、スーツのポケットに手を突っ込み、箱の固い感触を楽しんだ。
今日、ここへ来る前にこれを予約していていた店から連絡が入り取りに行った。四角く、冷たいその箱の中身は、これからの俺の人生を大きく左右するだろう。
おれは、きつく結ばれたりぼんの辺りをそっと撫でた。
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