episode2・①

4/22
前へ
/22ページ
次へ
「私、そろそろ、帰るわね」 咳払いをした女の人は立ち上がると、「あとは皆さんで楽しんで」と、彼女の隣にいた別の女の子に一万円札を握らせた。 「そ、そんなぁ。まだいいじゃないですかぁ」 「そうですよ。千島さん、帰るなんて言わないでくださいよ。ねぇ?」 ありさと、一万札を握らされた女の子が、びくびくしながら顔を見合わせる。 「そうですよ、まだまだ夜は長いんですから。なぁ?」 「あ、あぁ…」 男性陣もすかさずフォローを入れた。 けれど、その人は、 「あとはお若いみなさんで、どうぞ」 にっこりと笑うと、颯爽と帰って行った。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加