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「ねぇねぇ、千島アナって、いくつになったっけ?恋人とかいるの?」
室岡先輩が女の子たちに尋ねると、彼女たちは、目で合図しあい、ひそひそ話を始めた。
「ねぇ、どうする?」
「でも、ただの噂だし」
「けど、浅生ディレクターが見たんですって。千島さんが、三浦さんと一緒にいるの」
「三浦さん?誰それ?」
「下請けの制作会社の人だよ」
「しらなぁい」
社会人一・二年目であろう彼女たちは、学生のようなノリではしゃいでいる。
若いな。
自分だって同じような年頃のくせに、つい、そんな風に見てしまう。同じひよっこ同士と言っても、地方局とはいえ女子アナとしてちやほやされている彼女たちより、営業マンとして日々靴底をすりへらしている俺は、ずっと社会の厳しさに揉まれて老け込んでいるような気がした。
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