恋せよ乙女

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好きだからあなたに恋をした。 恋しているから、あなたを愛してる……。 好きだからから、あなたを愛してる……。 じゃあ…… 『好き』がなくなったら恋は終わってしまうの? ―――――――― ―――――― ―――― 我輩の名前はメルクリウス・ティリア!Tigreの始末部隊に所属してるのだゾ?つい数年前までは海の中で暮らしていたけど、いろいろとあって今は陸上で暮らしているゾ!初めて海から陸に上がった時、すぐに周りの環境への適合ができなかったせいで倒れてしまったんだゾ……。そんな我輩を助けてくれたのがこのTigreのトップであるドンの鈴様とその補佐をしているアン様だったんだゾ! 陸上のことを何も知らない我輩を当然のように拾って受け入れてくれた鈴様には感謝しているし、その時にこのTigreのために我輩は尽くすと決めたんだぞ。そして、我輩が一番嫌いだった他の人とも違うこの耳を初めて認めてくれたアン様に恋をしたのもこの時だったゾ!! 最初はアン様と一緒にいると安心感があるから好きだったけど、月日が流れていくうちにアン様のことをいろいろと知っていくうちにもっと好きになっていてたんだゾ。最初は憧れに近かったこの好きという気持ちも、知らないうちにその言葉では言い尽くせない大きな気持ちに育っていたゾ。 我輩が始末部隊だからアン様と直接接する機会は少なかったけど、我輩は遠くからアン様の様子を見ているだけでも幸せだった……。けど、ある日気が付いてしまったのだゾ。仕事の合間を縫って訓練施設内で戦闘部隊の人達と訓練をしているアン様を見ていたのが、我輩だけではないことに。 その後ろ姿は見たことはないから、始末部隊の人間でもないだろうし、顔をよく合わせなくもない売人部隊の人間にもああいう人はいなかった気がするし、戦闘部隊ならこそこそと陰から見なくても訓練に混じりながら見ればいいはず。だから、たぶん研究・医療部隊の人間だと思うゾ……。関わりが全くないわけじゃないけど、比較的関わりが薄くて後姿を知らなくてもおかしくないと言ったらそこしかないゾ!! ……こっそり見ている分には我輩も同罪のようなものだけど、あの人もアン様のことが好きだというなら困るゾ!!だって、あの人は遠目から見ても我輩よりも背が高くてスタイルもよくて、色気のようなものもあって大人っぽいんだゾ?
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