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当日
雨の日だった。
ごめんねと謝る君を見た。
俺はただただ見ていた。
何も出来ず、何も言えず、横を駆けて行く友人を見送って。
普段は見せない姿を、あいつには見せる。
いや、そうさせたのは俺なのかもしれない。
つまらない、なんて、小学生の嫉妬のような感情が芽生えたことにも、俺は気付かずに。
じゃりっと雨で濡れた地面を踏む。
見上げた空は灰色で、どこか黒く、濁った様。
俺の心と同じだ。
目に入る雨を拭いながら、来た道を戻る。
俺じゃ、無かったんだな、と。
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