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『別に、頑張るとか無いし。北城君には彼女いるし。私別に思いを伝えようとか思って無いし。今のままで十分だから。 だから、頑張るとか無い。』 彼女も、一人の女の子なのだろうか。 自分のキャラでは無いからと 相手には彼女がいるからと 頑張っても意味が無いと 本心を隠して言っているのだろうか。 『まー、姫宮が決める事だしな。良いんじゃん、それでも。だから、まぁ俺が誰かに言うとかは気にすんな。そっと見守るから』 ここで俺が事実を伝えたら、間違いなく俺達の関係は崩れる。 他の人を巻き込んで崩れるに違いない。 だから、俺は何も言ってはいけないんだ。 第三者が絡むと、それこそ面倒だ。 『桐ケ谷らしいわね、その他人事さが。あなたは咲希の事でも思ってればいいわ』 メールを見て鼻で笑う。 なんじゃそりゃ、と。 『俺はこれからが本気だし。 姫宮も、本気出したくなったら言ってくれよ。 力になるし。桐ケ谷様が』 『ごめん言葉の意味が分からない。とりあえず桐ケ谷が本気を出すってことは分かった』 『まー、あれだな。 後悔、すんなよ』 『桐ケ谷って結構キザなところあるのね。大丈夫、似合って無いから』 一瞬で返って来たメールの後に、もう一通。 文句の一言でも返してやると思いメールの画面を開こうとしたが、ページを破棄する。 『 一応、ありがとう 』 俺かっこいいの雰囲気を満喫中に、姫宮の一言メール。 姫宮らしい言葉に、俺は何故かムスッとな感じで照れてしまった。 「ふん……るせーよ、アホ」 窓から月を眺めて思い耽る。 またまた三度内容を見返し そのメールに返信せずに、俺はスマホを手放した。 明日から、修学旅行だ。
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