疑いと嫉妬

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店の外に出て室長を探す。 「桐谷くん」 室長は隣の店との間の看板の横に立ち、私を呼んだ。 「あ、室長!」 思わず声が弾んでいた。 「お疲れさまです」 「ああ、お疲れ」 一目でわかる、室長のお酒の入った顔。 顔色をほとんど変えない渉さんと違って、ほんの少しだけ色付いている。 「…会長の…代わりに?」 きっと飲んではいけない会長の代わりに、室長がグラスを空けたのだろう。 「…ああ。いつもはこんな風に顔にも出ないが、今日はペースが早くてな…悪気があってのことじゃないから、付き合わなきゃならないし」 …会社の上層部っていうのは、いろんな苦労があるのです。
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