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「風呂入れば?さっぱりするよ。俺は後で入る。」
「うーん。」
莉乃の間延びした返事が返ってきた。どこか上の空のようで柾生と会話しているという感じでもなかった。
柾生は冷蔵庫を開けて中を覗いた。食材はあまり無いけれどなんとかなりそうだ。
料理を始めてからラー油を切らした事に気がついたので、仕方なくコンビニまで行くことにした。
「出かけるの?」
莉乃が聞いてきた。
「ちょっとコンビニ行ってくる。なんか欲しいものある?」
「ううん、ない。」
莉乃は何か考え込んでいるようにも見えた。でも何となく探るのをためらわれるような、拒絶するような雰囲気をまとっていた。
柾生は莉乃のそんな様子には気づかなかった事にしてコンビニまでの道を歩いた。
目と鼻の先だった。入ってすぐ目的のラー油を見つけ、それからビールとノンアルコール飲料をカゴに入れた。
雑誌をちょっと手にとってみて、結局買わずに戻した。ツマミになりそうなものを幾つか選んでからふと必要なものを買うことにした。
莉乃とこの前いつしたかはっきり記憶にない。アレを薬局やコンビニで買った記憶もない。
でも今日は使いたい。どうしても。
柾生は迷わずその小箱をカゴに入れレジに向かった。
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