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柾生が家に戻ると莉乃は入浴中だった。洗面所にいると莉乃が使う湯が立てる柔らかい音が聞こえてきた。
その静かな音を聞くともなしに聞いていると、柾生はたまらなく莉乃が愛おしく思えてきた。
俺の女。俺の愛する女。
突き上げてきた欲情をなんとか抑えて料理の続きに取り掛かった。音楽を聴きながら作業は手際良く進んだ。
莉乃が出てくる頃にはそれなりの食膳が出来上がった。
「こんなに用意しなくても良かったのに。」
莉乃は簡素なダイニングテーブルの上に並んだ料理をチラッと見て言った。
「ありあわせだよ。ビール飲む?」
「うーん、どうしようかな。ちょっと頭が痛いの。」
「大丈夫?どこか具合悪いの?」
「ううん、大丈夫。ちょっと疲れただけ。」
「ならいいけど。ノンアル買ってきたからそれにしとくか?」
「ありがとう。そうする。」
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