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香織が顔に落ちかけた髪を耳にかける仕草に和志はゾクっとした。
挑発的な輝きのマニキュアを施した爪がいたずらに耳の脇で髪の一房をクルクルと回していた。
耳とうなじの産毛がキメ細かい肌に浮いているようで和志は思わず手を伸ばして触れてみたくなる衝動を感じた。
香織が顔をあげた。
「ん?」
「なんでもない。綺麗な髪だね。」
「ありがとう。」
香織はメニューをパタンと閉じた。
「決まった?」
「うん。もう迷わない。決めた。」
香織は自分に言い聞かせるようにそう言った。それから見ている男なら皆とろけてしまいそうな笑顔を和志に向けた。
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