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それ以上香織にそんな仕草で見つめられていたらショートしてしまう。
表面上はクールに構えていた和志だったが血流はどくどくとたぎっていた。
さっき会ったばかりなのに、和志にとって香織はどうにも欲しくてたまらない存在になっていた。
「お待たせいたしました。」
テーブルに料理が並ぶと香織は子供みたいに和志が注文した皿と自分のを比べた。
「そっちも美味しそうだね。」
羨ましそうにそう言う。
「交換しようか?」
「いいの、いいの。これも食べたい。さ、食べよ。お腹ペコペコ。」
自分の前に置かれた皿もニコニコ見下ろしながら香織は言った。
しばらく食べることに集中していた香織が口を開いた。
「やっぱり一口頂戴。」
「だって口つけちゃったよ。」
「いいの、いいの。平気。私、そういうの気にならないから。ああ中村くんが嫌か。」
「いいよ。どうぞ。」
「じゃ中村くんが食べさせて。」
そう言ってアーンと口を開けた。和志はちょっと気後れしながらパスタをフォークに巻いて香織の口に運んだ。
香織は下品さを微塵も感じさせることなく美味しそうに咀嚼し終わると和志に聞いた。
「食べる?こっちも?」
「いや、いいよ。」
和志は照れを見せないように出来るだけクールにそう答えた。
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