彼女の存在

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彼女の存在

3月の決算時期、 うちの会社は “お疲れ様でした” みたいな区切れの飲み会がどの部署にもあって 決算とはまったく無縁の 営業部も、今日はカコつけて飲み会。 “課長に彼女がいるのか聞いてみようかな” 青木主任がそう言って心を躍らせていた日でもある。 朝からテンションはダウンで、憂鬱な私だったけど 「ほ、ほんとに?!」 「あぁ~ほんとだよ。課長・部長クラスは基本参加しねーの」 去年もそうだったのかな。 裕はアメリカにいたから、あまり気にしてなかったけど、 ってことは…。 「や、やった!!じゃぁ夜ご飯はお弁当でも買って食べてね♪」 「いいけど、お前なんで、そんなに嬉しそうなの?」 「えっ…?」 目を細めながら、冷たい視線で睨みつけてくる裕。 そりゃ…嬉しいよ。 「なんかたくらんでね?」 「なんもたくらんでないよ…やだなぁ」 「ふ~ん」 裕がこなければ、青木主任の色仕掛けもおじゃんになるわけで。
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