彼女の存在

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「社内恋愛って何気に多いんですね~」 「あぁ~そういえば朝倉さんの彼氏も社内の人だよね?」 こないだの飲み会にいた 女子社員たちが思い出したかのように私にそう確認してくる。 それと同時に思わず裕と 目と目が合ってしまった。 余計なこと言わないでくださいよ。 口に出さなくても表情でわかる。 “お前、なに余計なこと言ってんだよ” そういう裕の顔。 「朝倉さんヒントちょうだい!!部はどこ?」 ヒント? ヒントもなにも、 部すら言えないし。 だけど、なんだろう・・・。 なんかわかんないけど。 もう…いい。 どうでもいいよ。 別にばれたって。 営業部、異動になったって…。 裕と付き合ってるの隠してることの方がよっぽど辛い。 私の中でそんな思いが芽生えてきて、気持ちに何かの決心がついた気がしてくる。 裕・・・もういいでしょ? 「部って言うよりも…目の前にいたりして…」 「「ゲホゲホッ…」」 ボソッと呟いた私の言葉に目の前に座っていた、裕と小林は同時にビールをつまらせた。 一瞬シーンとなった宴会席。 でも言ってしまった言葉を今さら取り消すつもりもなくて、 黙って裕を見つめてたら、裕は案の定、何も言ってはくれない。
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