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「なんで麻衣から渡される前に用意しなかったんだろうって思ったらため息が出たんだよ」
そ、そうなの…?
本当に?
裕ももらおうとしてくれてたの?
きっと私は、いつの間にか心の中で
もう一人の裕を作り上げていたんだ。
“こんな紙渡すなんて早く結婚してくれってことか?”
“仕事忙しいのにそれどころじゃねーよ”
結婚に対してそんな拒否感を持った裕を勝手に想像していて、
だからさっき聞いたため息も、拒絶されたように感じてしまった。
「俺が結婚したいと思うのは、お前しかいないから」
「…うぅっ…」
「なんで泣くんだよ」
だって、嬉しいんだもん。
嬉し過ぎて、涙が止まらないよ。
ごめんね・・・裕。
焦っちゃって、
先走ちゃってごめんね。
「裕…大好き…」
裕に飛び付くと、その大きな体は、スッポリと私の体を包み込んだ。
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