編入早々、クラスに馴染めない

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耳に届く、笑い声。 笑顔を絶やさない、そんな暖かい場所。 楽しそうにしているクラスメイト達の輪の中に、私も加わる事は無かった。 何故ならその輪の中に、私の居場所なんて無いのだと初めから知っていたから。 別に、虐められている訳ではない。 輪の中に入れないからといって、特に不自由な事は無かった。 クラスメイトが一文字喋れば、私はペンを動かして一文字書き込む。 輪の中に入れない私は、そうするしか無かった。 ただただ、ひたすらに大学ノートを文字で埋め尽くす。 教科書を何度も丸写ししたり、テストで分からない場所を何度も解いたり、問題集を解いてみたり。 中学時代にそんな作業的な毎日を主に送っていた私。 成績も良かった私は、『協調性が無い以外に特に欠点は無い』と当時の担任に言われた。 そんな受験生の私に、その担任がとある高校を勧めてきた。 それは世間でもとても有名な、かなりの入学費がかさむ学園の高等部編入の勧めだった。 常に勉強しかしていなかった私を推薦してくれた先生にはとても感謝している。 無事に推薦試験も合格し、特待生でこの学園の入学費やら学費を免除という有難い特典まで頂いた。 入学式も無事に終えて各生徒達が教室に戻った今、私は乗り越えなくてはいけない壁に早々にぶち当たっている。 クラスに、上手く馴染める気がしないのだ。
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