ボーダーライン - 砕けた心(最終話)

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 山田は高校二年生になっていた。  遥とは中学二年でクラスが分かれて以来、一度も同じクラスにならず、一度も口をきいたことがない。それでも学校が同じだと嫌でも存在を意識させられてしまう。大財閥の息子でなおかつ常時学年トップという目立つ人物であればなおさらだ。  そのせいかどうかはわからないが、四年以上も経つのにいまだに彼とのことを引きずっていた。忘れようとしても忘れられない。過去の思い出にもできていない。あれから何人かの女子に告白されて付き合ったが、どうしてもあの三週間と比べてつまらなく感じてしまい、いつも長続きしなかった。異常だと自覚しているがどうしようもない。他人の気持ちどころか、自分の気持ちでさえ思うようにはならないのだから。
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